高校生活は、人生のたった3%に過ぎない短い時間でしかありませんが、人生の中で可塑性(自在な変化)の最も高い時期でもあります。この時期にどんな仲間と、どんな経験を積み、人生の武器を獲得するのかで、今後の人生の豊かさに大きな影響を与えます。本校ラグビー部を卒業した選手達は、それぞれの道で力強く堂々と活躍しています。ラグビーの経験は全く必要ありません。未知の経験をする時には、人は誰しも不安を抱くものです。これから先の人生の中でも不安が一切無い状態は存在しません。不安を無くす事は不自然であり、不安を無くす事にはあまり意味を持ちません。たとえ無くなったとしてもまた別の不安が生じてくるからです。大切な事は、不安をコントロールできるサイズにして、不安との付き合い方を学ぶ事です。青年期には不安への耐性を身につける事が非常に大切です。学業・進路・怪我・人間関係などへの不安を考え出したら、やらない理由しか見つける事は出来ません。ノーリスクはノーリターンであり、ノーリターンが次のリスクになります。現状に満足していなければ、満足できる状況に変化させればいいだけです。全てはあなたの選択次第です。本校ラグビー部では、将来を見据えた青年期の健全な発育発達を最優先にして運営されています。
ラグビーとは、もともとヨーロッパの村と村の対抗で行われていた民族フットボールを原型としています。フィールドは村二つ分で参加者は村総出で参加し、一つのボールを奪い合います。ルールは相手の村のゴールにボールを運ぶだけで決着がつき、その祭りが終わります。スポーツに発展したのは、イギリスのパブリックスクール(寄宿制私立学校)の現場で、リーダー育成の教育的需要を満たすために形作られました。ラグビーには、パスを前に出してはならないが、トライをするためには、ボールを前に運ばなければならないという不条理を知性で攻略し、身体接触が許されているため高い倫理観と強壮さも求められる特性があります。ラグビーのLaw Book(競技規則)には、『ラグビーフットボールは、身体接触を伴うスポーツであるため、本来危険が伴う。いかなるときも、競技規則を遵守してプレーし、プレーヤーウェルフェア(選手を守る事/福利)を考慮する事が特に重要である。プレーヤーには、身体的にも技術的にも競技規則を遵守してプレーできるように準備し、安全な方法で楽しく参加するように取り組む責任がある。』と明記されています。危険を伴う(リスク)スポーツだからこそ、安全に楽しむために高い規律が要求され、逞しい身体・精神の準備をする責任が求められます。自立を獲得しなければ楽しむ事の出来ないスポーツであるということです。200年間の時代の試練に耐え残った、教育的エッセンスが凝縮されたスポーツの枠組みの中で、自己の可能性を自ら引き出す事を可能にします。競技を楽しむための準備をするプロセスこそが、教育的な要素として世界のリーダー教育に活用されてきた最大の理由です。
発育発達(身体性・精神性)においては、それぞれの発育時期にしか存在する事のない、とても強い可塑性(自在な変化)を持つ特徴があります。後から取り戻そうと思っても難しいことが多く、適切な時期に適度な刺激を与える事が発育発達の観点からは大変重要な要素になっています。この時期に獲得した要素は人生の基盤になります。
身体性(スキャモンの成長発達曲線)
各年代での発達段階が違うため適切に適度な刺激を与える事が必要です。各年代での獲得するべき課題においては、小学生の時期には、神経系の発達が著しいため『動作の習得』、中学生の時期には、呼吸・循環器系の発達が著しいため『持久力の獲得』、高校生の時期には、生殖器系の発育の影響で男性ホルモンの分泌により骨格筋の発達が著しいため『力強さの獲得』が有利です。努力が身体を変化させていく過程で自信を獲得する事に繋がります。トレーニングは、専門コーチからの直接指導を得て目的を明確にして合理的にプログラムされています。卒業後の人生でも応用できるように、栄養・トレーニング・コンディショニングの教育を行っています。
精神性(エリクソンのライフサイクル心理社会的発達論)
人間の心理は周囲の人々との相互作用を通して形成されていきます。自己と社会に対する健全な適応にとって必須の学習であり、各発達段階で獲得するべき発達課題があるとする考え方です。中学生・高校生の青年期では、アイデンティティ(自我同一性)の確立を獲得する事が発達課題となります。自分が自分である事に誇りを持ち、自分の強みを理解し、属する集団や周囲の人々の中で社会性を保ちながら自分の居場所を確保していく事です。これにより、自分の力でなんとかする自立心が芽生えますが、不十分であれば過度に依存する状態になります。発達課題を獲得するためには訓練を積む場が必要です。家庭・学校(クラス)・第3の場所としてのクラブを利用して、自分の価値観や職業観が洗練されていき人生の方向性が定まってきます。パートナーシップ(各学年3人組グループ)を通して、アイデンティティの確立(自分の役割と居場所)を促していきます。
選手の安全・怪我予防を第一に考え安全管理体制を整えています。安全を考えるとは、リスクを考えるという事です。ラグビーをやらなければ、ラグビーで怪我をする事はありませんが、ラグビーから得られる事もありません。コントロールできるリスクをマネジメントする術を学び・実践する事が、私たちの考える安全管理です。プレーヤーウェルフェア(選手を守る事/福利)を最優先に考えているため、ストレングス トレーニング(逞しい身体作り)・コンディショニング トレーニング(身体環境整備)に関しては、専門のコーチに指導(教育)をお願いしております。健やかな人生を送るためには、将来の健康問題に対応するための力が必要だと考えています。身体環境の悪化からくる健康トラブルを未然に防ぐための基礎体力・基礎知識をしっかりと身に付け、自分の身体と上手に付き合い、自分の身体を自分で整える事の出来る力を養います。体幹を強化して、コンディショニングを整える事を軸に身体作りをしていきます。身体本来の正しい使い方や、本来の姿勢を取り戻し、怪我のリスクを未然に防いでいくと同時に、安全なプレーの習得と、危険な状況を作り出さないための状況判断スキルを向上させていきます。成長のためには、ストレス(刺激)とリカバリー(回復)のバランスが重要です。ストレスをどれだけ受容し成長のキッカケとする事ができるかで、今後の成長率に差が出てきます。
部費 (4000円/月)*ストレングス/コンディショニング指導費用(運営費の徴収は一切致しません)
その他 (協会登録費/上位大会参加への実費経費/夏合宿費用/個人練習用品等)